呼吸が浅い現代人。横隔膜が硬くなると腰椎の安定性が失われる理由

セルフケア・生活習慣

導入

「なんだか最近、ため息ばかりついている気がする…」
スマホやパソコン作業に集中しすぎるあまり、呼吸が浅くなっている現代人が急増しています。実はこの「浅い呼吸」こそが、頑固な腰痛を引き起こす隠れた原因なのです。

呼吸と腰痛の意外な繋がり(コアの筋肉としての横隔膜)

「呼吸と腰痛に何の関係があるの?」と不思議に思われるかもしれません。
私たちが呼吸をする時に使うメインの筋肉は「横隔膜」です。この横隔膜は、単に肺を動かすだけでなく、お腹のインナーマッスル(腹横筋や多裂筋など)と連動して、腰回りを内側から支える「天然のコルセット」の役割を果たしています。

呼吸が浅くなり横隔膜の動きが硬くなると、このコルセットの空気圧(腹腔内圧)が抜け、腰の骨(腰椎)を支えきれなくなってしまいます。結果として、腰の筋肉や関節に直接的な負担がかかり、痛みが発生するのです。

浅い呼吸は「交感神経(ストレス)」を暴走させる

さらに、呼吸が浅い状態は自律神経にも悪影響を及ぼします。
浅く短い呼吸は、身体を「交感神経優位(興奮・緊張状態)」にさせます。交感神経が常に働いていると、全身の筋肉は無意識のうちに力み、血管が収縮して血流が悪くなります。これもまた、痛みを過敏にし、回復を遅らせる大きな原因です。

当院で行う第一肋骨のモビライゼーションなどの手技では、必ず患者様に「深呼吸」をしていただきながら調整を行います。呼吸を利用することで、自律神経をリラックスさせ、関節をより安全で確実に動かすことができるからです。

「木(痛み)ではなく森(全体)を診る」

当院の患者様でも、呼吸に対するアプローチによって首の痛みが改善するケースが多くみられます。

私たちは、痛い場所(木)だけを見るのではなく、患者様の呼吸という毎日の無意識の動作(森)から身体全体を評価します。
腰痛がなかなか治らないとお悩みの方は、一度ご自身の「呼吸」を見直してみませんか?当院が、正しい身体の使い方からサポートいたします。


【参考文献】
1. Kolar P, et al. “Postural function of the diaphragm in persons with and without chronic low back pain” J Orthop Sports Phys Ther (2012)
(※横隔膜が単なる呼吸筋としてだけでなく、腹腔内圧を高めて腰椎を安定させるコアマッスル(姿勢維持筋)として機能していることをMRIを用いて証明した論文)

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